「世に棲む日日」(一)

司馬遼太郎の名作歴史小説。幕末日本の維新前夜を、吉田松陰高杉晋作を主人公にして描いています。

竜馬がゆく」を読んでから幕末の歴史に興味を持ったのですが、新撰組を描いた「燃えよ剣」は途中挫折。どうも司馬さん独特の「脱線続きの文章」が、まどろっこしかったようで・・「竜馬がゆく」は、幼い頃いじめられっ子で無学だった竜馬が、様々な人に出会い感化され、なおかつ自分の思うままに行動し活躍していく様が痛快で、面白かったんですけど。

で、もう一度司馬さんの小説にチャレンジしてみようと思い、この本を手に取りました。

・・やっぱり脱線は多い・・これは、もう彼の文章スタイルの特徴ですね。本人も「ふしぎな若者のふしぎさを、筆者はこの小説(といえるかどうか)で考えてゆこうとする」なんて本文中にも書いている。「そうかこれは小説風歴史エッセイなんだ」と思ったら、受け入れられる気がしました。

文庫本は全部で4冊。(一)では吉田松陰の生い立ち、人となりを中心に、ペリーが黒船で浦賀にやってきた当時の日本を描いています。

吉田松陰に対して私が持っていたイメージは「過激な思想家」ですが、性格は謙虚で温厚だったらしいです。でも、当時にしてみればとんでもないことを思いつき実行してしまう「危ない」方だったよう。外国に行っちゃおうとしたりね。

彼の思想、行動がどんなかたちで幕末日本に影響していくのか、司馬さんの脱線に付き合いつつ、追っていきたいと思います。

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (1) (文春文庫)