「サラバ!」

サラバ! 上 (小学館文庫)

サラバ! 上 (小学館文庫)

サラバ! 中 (小学館文庫)

サラバ! 中 (小学館文庫)

サラバ! 下 (小学館文庫)

サラバ! 下 (小学館文庫)

文庫本3冊の画像を並べてみましたが・・・長かった!これはもう大河小説ですね。圷(今橋)歩くんの半生。本人が自叙伝として語っているスタイルで、彼とその家族の歴史が淡々と語られていきます。

どうにも主人公、歩のキャラが好きになれなくて。周りにどう見られるかばかりを気にする、事なかれ主義の受け身の男。自分がいいルックスであることを自分でわかっていて女の子と遊びまくる。いつも上から目線で人をバカにしてるような。

でも、そんな自分を決して好きになれない。そもそも自分のことが好きじゃない歩が書いた自叙伝だから、読み手もそう受けとってしまうわけで。そこに気づいたとき、初めて歩の人間臭さ、魅力がわかった気がしました。

お姉さんのキャラが、また強烈で。いわゆる「普通」じゃない子。学校では異端児はいじめられたり、仲間外れにされたりする。家族の中でもやっかいもの扱いだけど、彼女は信じるものを探しつづけ、ついに見つける。

誰にでも「信じる」ことのできる何かが、生きていくために必要なのだと思う。それは「宗教」ということではなく、それぞれ個人のもの。「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけない」というシンプルな結論。様々な雑音で姦しい世の中で、それはそんなに容易なことではないのかも。

個人的に一番、魅力的に感じたキャラは、鴻上でしたね。歩との関係性が最高です。