- 作者: 木内昇
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/11/22
- メディア: 文庫
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本屋でちょっと立ち読みしておもしろそうだったので購入。
浮世女房=江戸の小間物屋の女房の1年間の日記。
江戸の歳時記としても楽しめますが、なんといっても「筆者」のお葛さんの文章がテンポがよくておもしろい。家族や近所の人たちが生き生きと描かれていて、この時代の人たちの中にすっと溶け込めてしまえるような錯覚を起こします。
江戸時代が今の時代に比べて、すべての部分で良かったとは思いません。でも、お葛さんのような世話焼きおばさん(27歳なんだけどね・・)だとか、その日暮らしであっけらかんとしている男衆とか、貧しいけれどみんな明るい。
テレビやネットどころか、電話や電車すらない不便な世界だけど、今の時代のひとたちより幸せに見えてしまうから皮肉です。
小説、作り話といえばそうなんだけど、江戸人がもっていた気質は時の流れの中で確実に失われてしまったんだろうなとさびしい気持ちにもなります。