何かと話題の映画「風立ちぬ」を鑑賞。
大正末期から昭和の終戦までの暗い世相を背景に、飛行機をつくる夢を追いかけた青年の青春を描いています。
純粋に飛行機が大好きだった少年が、戦争に使われる零戦の設計をすることになったり、許嫁が結核になってサナトリウムに入ったりと、内容的には重苦しくて笑える要素はどこにもありません。これが実写だったら本当に地味な作品になったでしょう・・
ところが、アニメの良さはそんな重苦しいリアルストーリーをファンタジーにしてしまいました。主人公の夢と現実が交錯してゆくところ、結核の少女と紙飛行機で情を交わす場面など、アニメならではの躍動感あるファンタジックな演出が、この映画を重苦しい雰囲気から解放してくれてます。
「戦争美化」という意見に関しては、むしろその反対だろうという感じを映画鑑賞後に受けました。主人公は単に飛行機が大好きだった「飛行機オタク」だったというだけで、戦争がしたかったわけでは全くないからです。
タバコのシーンに関しては、何が問題なのかよくわかりません。確かにタバコのシーンは多かったですが、それがタバコを推奨しているということにはならないと思います。
「結核の人の前でのタバコ」についても、手をつないだままでいたいと病床の彼女が懇願するため別室でタバコを吸えなかったということ。タバコの煙も気にしないという彼女の愛情の強さがわかる象徴的なシーンでした。タバコを吸いたいという欲を我慢できない彼氏は、やはり彼女よりも飛行機を優先させてしまったという見方もできるやもしれません。
主人公の声をやったのがアニメ監督の庵野秀明。声優に関しては全くの素人で、おそろしいくらい棒読みでちょっと笑えました。何かねらいがあって起用したのでしょうが、確かにある意味、印象に残りました。
西島秀俊、國村隼、竹下景子、志田未来は声で判別できました。國村隼なんて聴いた瞬間でわかった!志田未来はアリエッティに続きやっぱりうまいです。
物議をかもしている作品ですが、私にとっては印象に残る作品になりました。