「空中庭園」

空中庭園 (文春文庫)

空中庭園 (文春文庫)

角田光代さんの小説は「対岸の彼女」以来2冊目。「隠し事をしない!」がモットーの家族のそれぞれの「秘密告白」の物語です。

家族っていったって、いや家族だからこそ、言えないこと、秘密にしておきたいことってある。「隠し事が全くない」なんて家族がいたら気持ち悪いかも。

でも、お母さんの秘密はちょっとヘビー。家族の形成にかかわる問題だからね。そしてお父さんの若い愛人の告白。これも重い。カタチだけの家族にこだわるお母さんと、やみくもに家族を否定する愛人。この対比がおもしろい。

平和に見える家族にも、色々あるんだろうと思う。多かれ少なかれ。家族って近くに居過ぎるから、却ってお互いの事がわからなかったりするし。そういう意味でリアルを感じる小説でした。