「中岡慎太郎」下

中岡慎太郎〈下〉 (人物文庫)

中岡慎太郎の活躍を描いた小説、下巻。

坂本龍馬の発案と言われる「薩長同盟」。中岡慎太郎が本当の生みの親という説もあるんですね。この小説は慎太郎が主役ですから、そのように描かれていました。

２人を比較すると面白いんだけど、同じ土佐人で同時代人で土佐勤皇党出身で脱藩した、というところまで同じなのに、全くの別行動。龍馬は幕臣に弟子入りしたり、経済結社をつくってみたりしているし、慎太郎は禁門の変や四境戦争に参加したり三条実美の衛士になったりしています。

短い幕末の時間の中で、薩長同盟までは慎太郎と龍馬にほとんど接点はないけれど、どちらも「世直し」の為に動いていたことには変わらない。こんな同郷の２人が幕末の最終局面で行動を共にし、一緒に暗殺されたってことは、やはり運命的です。

最も、暗殺当時、２人の意見は慎太郎の「主戦論」と龍馬の「非戦論」に真っ二つに分かれていて、激しい議論の勢いでお互いを斬り合うことがないよう、刀を身から遠く離していたことが裏目に出た、という話も聞いたことがあります。

この小説では、暗殺される直前の２人は、おだやかに将来の夢を語り合っていました。・・２人にはなんとか生き残って欲しかったよ。あそこまで頑張ったんだから。

今日の龍馬伝の予告で、ついに上川隆也の中岡慎太郎が登場！上川さん、好きな俳優さんだし、慎太郎のイメージにぴったりなので楽しみです。まあ、あくまで龍馬が主人公のドラマなので、この小説とは違うニュアンスで描かれそうですが・・