「与謝野晶子の源氏物語」中


「六条院の四季」という副題がついているこの巻、光源氏のつくったハーレム(?)六条院での日々と、「宇治十条」のさわりの部分が収録されています。

プレイボーイの光源氏は、まるで過去に自分が犯した罪(義理の母、藤壺に不義の子を産ませる)の罰を受けるような出来事に遭遇する。正妻の女三の宮に一目惚れした柏木が、不義の子を産ませてしまうのだ。

なんかもう、ヘタな昼ドラよりドロドロしている。

そして、光源氏の死後、「宇治十条」で主人公になるのは、成長したこの不義の子、薫。この薫が、光源氏とは全く正反対なタイプで強引に女に迫ったりはしない、品行方正な青年なのだ。自分の出生の秘密を知り、若いのに重たいものを抱えてるために、常人を超越したところがある。どこか暗示的な存在。

この薫の、そういう男であるが故のプラトニックラブは胸に沁みました。

光源氏も薫を見習った方がいい!(笑)自分の権力や美貌でどんな女も思い通りになるって思ってるところが頭にくるっていうか・・紫の上の大切さに気付くのが遅すぎだし。

でも、この泥臭さが人間の本質なのかなあ・・って気もします。「3高」がもてはやされた時代もあった。女性も少しでも条件のいい男性を捉まえるために化粧したりオシャレする(人もいる)。やっぱり1000年経っても、何も変わってないのかもしれない。