- 作者: 宮尾登美子
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2007/03/15
- メディア: 文庫
- 購入: 6人 クリック: 28回
- この商品を含むブログ (72件) を見る
篤姫はどこかで「徳川家の為に生きる」ってスイッチが「カチッ」と入った瞬間があったんだろうね。それは家定の死の時かもしれないし、斉彬の死がきっかけかもしれない。
とにかく自分の生きる道がはっきりしてからは、なにも迷いがなかったんじゃないかなあ。少なくとも、この小説を読むとそういう気がする。江戸城総攻撃か・・というとき、実家である薩摩から迎えがきても、応じなかった。自分だけが助かろうなんて思ってもいない。
幕臣でも、この期に及んで相手側に寝返ったりするものもいる・・という篤姫の嘆きの書簡が、江戸博の「篤姫展」で展示されていました。腹が立ってたんだろうね。女性というのは潔癖で、筋が通らないことは許せない生きもの。篤姫はそれを臆することなく、ぶちまけてる。
下巻では皇女和宮との確執も描かれていますが、誤解や行き違いが多くて、読んでる方もイライラ(笑)仲直りしたかと思うと、また険悪になったり、すっかり渡鬼チック。維新後、互いの誤解が解け、一緒に町の見物に行くまでになった部分を読んだときは、なんだか涙が出たよ。
篤姫が命を懸けて守りたかった徳川幕府が倒れてから、やっと心落ち着く平和な日々を送れるようになった・・というのも皮肉なものです。
大河ドラマは、江戸に到着したところで、今後どのように描かれていくのか楽しみです。小説には登場しない小松帯刀とは、どう対峙するのか・・とか興味深い。「家」を守るという古くさいテーマを、どう現代風にアレンジしていくのかもね。