「凪待ち」

白石和彌監督作品といえば、「凶悪」や「孤狼の血」といった暴力描写の多い映画が有名。正直、これまで縁がなかったですね。この作品も「香取慎吾主演」ということがなければ、観ようとしなかったかも。

ギャンブル依存症の主人公。恋人を何者かに殺され立ち直ることができず、さらにギャンブルに溺れていく。堕ちるところまで堕ちた先に・・

これは男の映画ですね。全体を通してベタベタしていない乾いた感じの映画。過去の回想やセリフでの説明が少なく、鑑賞者に対して至れり尽くせりではない。その分、観る人の想像力や感性が試されるのかな。

香取慎吾の演じ方については「演技」なのか「素」なのか、よくわからない感じが怖いのだと思う。「演技しています」というところがあまりないので、そこが凄みというか、迫力に繋がっているのでは。

たまに出てくる暴力描写に目を覆いつつ、息をつめて見続ける先にやっと見えた光。

ネタバレするので詳しくは書けませんが、殺された恋人の父親を演じた吉澤健には泣かされました。寡黙で何を思っているのかわからなかっただけに。娘の大切な恋人だったという以上に、彼に昔の自分を見ているような気持ちになったのかな。

恋人の娘役の恒松祐里も雰囲気のある女優さんで。昨日、映画鑑賞の後「もみ消して冬」のスペシャルドラマを観ていたら、全然違う感じで出ていた!レギュラー放送のときも観ていたのに全然気付きませんでした。やっぱり女優さん。