- 作者: 横山秀夫
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/02/06
- メディア: 文庫
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かなり長いこと、この場所を放置してました。。
その間に読んでいたのが、話題の「64」。横山秀夫さんというと、私にはちょっと敷居が高い気がして敬遠していましたが・・
こんな小説、今まで読んだことなかった。とにかく熱い。最初から最後まで熱を帯びている小説です。読む側にもそれなりのパワーがないと受け止めきれない小説です。
ミステリーではありますが、主人公・三上の悶々とした深い悩みがベースになっています。
元々は刑事だったのが、広報室の広報官に異動になってしまったことが納得がいかない。人事を担当しているのが、高校時代からソリの合わない二渡というのも気に食わない。娘は父親そっくりの自分の容姿を悲観して家出し行方不明。妻ともなんとなくしっくりこない。
こう簡単に書くとあまり伝わりませんが、たとえば自分とは正反対の二渡に対する攻撃心は、自分に対する劣等感の裏返しと見ることもできるし、とにかく三上の内面の表現の奥深さはすごいです。読んでるうちに三上と一緒に悩んでしまう(笑)苦悩の連鎖とでもいいましょうか。
ミステリーとしてもすごいです。昭和64年に起きた誘拐事件の犯人。もしかして見つからないで終わりか?と思いきや、意外な展開。私は最後の最後までわからなかったです。
今、NHKでドラマ化されていますが、この内容を映像化するのは大変。ちょっと観てみましたが、原作の筋をなぞっているだけ・・・という印象でした。三上の苦悩が小説ほどは伝わってこない。映画版は佐藤浩市が三上をやるそうですが、期待してもよいかな。