「八日目の蝉」

昨日のレディースデー、大混雑の映画館の前の方の席で鑑賞。首が痛かった。

多分、これは私が好きなタイプの映画じゃないだろう、「阪急電車」にしようかなどと迷いながら、結局これにしてしまいました。

原作は角田光代。女性の深い心理を炙り出した作品になっているのだろうと予想していましたが、最初から最後まで息もつかせぬ濃度で「これでもか!」と迫ってくる映画でした。観終わった後にかなりの疲労感。

軽妙な中に、笑いと静かな感動がある・・みたいな作品が好きな私にとっては、やっぱり好きなタイプの映画じゃなかったけど、役者さんたちの迫真の演技は見応えがありました。

井上真央は「花男」や、放送中の朝ドラの明るいイメージを捨て、父の愛人に誘拐された過去を持つ屈折した女の子を完璧な役作りで演じています。劇団ひとりとのラブシーンが一番衝撃だったんだけどね。

記者役の小池栄子もなかなか良かった。彼女の役作りも完璧でした。いや、実際ああいう人なのかなと思ってしまうくらい。

永作博美ももちろん良かったのだけれど、もう一歩「狂気」が足りなかったかな、と。誘拐犯でありながら「善玉」な描き方だったけど、愛人の子供を本当に連れ去って数年間育てるということは尋常じゃない行動だから。

とにかく、どの演者もハードルの高い演技を要求されたはず。かなり生臭い映画であることは覚悟して観た方が良さそうです。