- 作者: アラン,白井健三郎
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 1993/02/19
- メディア: 文庫
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普段、読みやすい小説ばかり読んでいるせいか、こういう本って苦手で。さらっと読もうとしても、スッとは頭に入ってこないのよ。読了するのにかなり時間を要してしまいました・・
でも、本当にイイ事いってる。そりゃあそうだと思いながら、なかなか実行できないことが多いんじゃないと感じつつ読んでました。
例えば、「失敗したために断腸の思いをしている野心家も、過去をよみがえらせたり、未来を考えだしたりしなければ、苦しみはどこにもありはしまい。」(53 短刀の曲芸)
過去を後悔したり、未来に不安を感じたって仕方ないじゃん、今を生きればいいんだよ!って本当にそのとおりだと思う。そうはいっても、ふと気が付くと、人ってクヨクヨ考えちゃうものじゃない?
また、「わたしはあなたに上機嫌をおすすめする。これこそ、贈ったり、もらったりすべきものだろう。」(80 新年)
これも、常に心掛けたいことだけれども、どうしても「気分」というものが邪魔してしまう。
で、結局、最後の章(93 誓うべし)で、「悲観主義は気分に属し、楽観主義は意志に属する。」という核心を突いた言葉が出てきます。「根本的には上機嫌などというものは存在しない」し、「あらゆる幸福は意志と抑制によるもの」であると。
そこで思い出したのが、学生時代にバイトしていた会社で定年退職した方が、最後に私に残した言葉、「楽天的になりなさい。」このときの私はこの言葉に全く重みを感じませんでした。
しかしながら、その後の人生を生きていく中で、楽天的で居続けることの難しさを知った私は、そのとき初めて、あの定年のおじさんの言ってたことの重みを感じたんだよね(笑)
「楽観主義は誓いを要求するものである」と。
彼もアラン読んでたのかな?