「世に棲む日日」(二)

吉田松陰安政の大獄で処刑。松下村塾で彼の教えを受けていた高杉晋作は彼の遺志を引き継ごうとする・・

(二)で主人公が吉田松陰から高杉晋作にバトンタッチ。吉田松陰の最期は不条理に思えて仕方なかった。処刑されるほどのことはしていないし、本人も死罪ではないだろうと思ってたのに。彼はお人好しで、評定所の吟味役人(取調役人)の誘導尋問に引っ掛かり、言わなくてもいいことを言っちゃった。

常に「死」を覚悟していなければ「志」は達成できない。こういう思いを持って生きてきた人なので、最期は立派だったという記録も残ってるようです。自分の命を懸けても事を達成しようとする思いって、平和な現代を生きる私には理解するのは難しいです。なんか生き急いでる人生。歴史の変わり目には必然的にこういう人物が出てくるのかも。

高杉晋作も松陰同様、生き急いでる感じです。でも、面白かったのは、反攘夷論を打ち出した長井雅楽を暗殺する計画を立てていた晋作が、上海への派遣使節団に選ばれるやいなや、暗殺計画を中止するところ。外国に行けるのならそっちが優先でしょう!とね。意外に柔軟性に富んでいた人物のようです。

新装版 世に棲む日日 (2) (文春文庫)

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