「犯罪者」にスポットを当てた短編集。「人はなぜ、罪を犯すのか?」というキャッチコピーが帯に。
その各短編のタイトルが変わっていて、興味を惹かれます。
「青田Y字路」(あおたのわいじろ)
「曼珠姫午睡」(まんじゅひめのごすい)
「百家楽餓鬼」(ばからがき)
「白球白蛇伝」(はっきゅうはくじゃでん)
このうち、「万屋善次郎」と「白球白蛇伝」が特におもしろかったです。
読み進めていくうちに、登場人物の誰が犯罪を犯してしまうのか目星がついてくるのですが、その人物が単純な悪人として描かれているわけではないので、どうにか犯罪者にならないでほしいと願ってしまう。でも、「犯罪小説集」というからには最終的に重大な罪を犯してしまうわけで。
読んでいてつらい気持ちになり、読後感も決してよくないので「おもしろい」という感想が適切なのかはわからないですが、「どうしてこの人が犯罪を犯してしまうのか」という興味でページをめくる手が早まるといったところでしょうか。
そのまま帯のキャッチコピーです。
「万屋善次郎」の物語には特に不条理を感じました。
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映画化されて今年の秋に公開されるということですが「青田Y字路」と「万屋善次郎」の2編を組み合わせて脚色するとのことで、どんな映画になるのでしょうか。「青田Y字路」は終わり方がぼんやりしているので映画でどう描かれるのか。
「万屋善次郎」の善次郎役が佐藤浩市なのはちょっと観たい気がします。イメージよりかっこいいけど。