「アンネの日記」−劇団民藝 稽古場特別公演

先日、劇団民藝の看板舞台である「アンネの日記」稽古場特別公演に行ってきました。

アンネの日記」は中学時代の私のバイブルといえる書で、アンネのまねをして日記を書いてみたり、図書館にあるアンネ関係の本を読みあさったりしてました。

しかし、舞台を観るのは初めてで、どんなアンネに会えるのだろうと楽しみでした。プロローグの後、登場してきた隠れ家の住民のなかにアンネを見つけたとき、「動くアンネだ!」となんだか懐かしいような不思議な気持ちになりました。

本公演でアンネを演じたのは、八木橋里紗さん。3年前の公演時のオーディションでアンネ役を勝ち取った彼女。なんとお母様は8人目のアンネの演じた方だそうです。

舞台の中の彼女はおしゃべりで落ち着きがなく、ちょっとうっとうしい感じ(笑)日記を愛読していた者としては、「あぁ、きっとこんな感じだったんだろうな」とイメージ通りでした。

内容が進んでいくにつれて、私はハケット夫妻の戯曲「アンネの日記」を読んでいたことを思い出しました。「あ、このセリフ知ってる!」

あらためてこの脚本がよくできていることに感銘を受けました。2時間の間に「アンネの日記」の世界観が凝縮されている。親との確執、将来の夢、淡い恋。隠れ家生活という異常のなかで感情をむき出しにする大人の姿や、戦争に対する思い。このリアルさが「アンネの日記」なのだと思います。

結末がわかっているので、上陸作戦の開始でみんなが歓喜にふるえているところも、切なくて涙をこらえきれなかった。エピローグも本当に暗く悲しく静かに終わります。最後の出演者あいさつでクレイマン役の山梨光圀さんが泣いていたのが印象的でした。