「シャイロックの子供たち」

シャイロックの子供たち (文春文庫)

シャイロックの子供たち (文春文庫)

池井戸潤の長編を読んでみました。

おもしろい!単なる金融小説ではなく、人間がしっかり描かれている小説です。そして一話完結の連作小説かと思いきや、次の話に謎がつながっていくミステリー小説になっています。

部下の愛理を守ったへなちょこ上司の西木には感動して涙がこぼれそうになったよ、電車の中で。まさかその西木がキーマンになるとは。

銀行で働くということの意味というのが1つのテーマになってるけれど、銀行だけに限らない、他の業種でも同じだと思います。組織の中で上司に嫌われたら終わりだとか、やりたかった仕事などほとんど回ってこないだとか。

何のために働くのか。誰かの役に立っているのを実感できる仕事ならばいいけれど、そうでない場合、お金のためと割り切れればいいのか。そんな人生もむなしい。

もやもやした思いを抱えているのはみんな同じなんだな、と妙に納得できた一冊でした。