「風味絶佳」

風味絶佳 (文春文庫)

ものすごい久しぶりに山田詠美の本を手に取りました。昔、「放課後の音符」とか「風葬の教室」とか、彼女の小説をよく読んでたんだよね〜

本作は、肉体労働者を主人公とする短編集です。山田詠美と肉体労働者・・あんまり結びつかなくて意外でした。

とにかく驚かされたのは感受性の鋭さ。年を取れば取るほど、感受性って鈍くなってくものだと思っていたけど、それは凡人だからなのか。山田詠美はいつまでもみずみずしい感性をもっていて、それを文章で表現できる作家です。

正直いってストーリーはどうということもなく、過去に読んだ短編集の「色彩の息子」や「晩年の子供」の中にいくつかあったような、ハッとするようなオチのある話はなかったです。それが、ちょっと物足りなかったかな。美しい文章を味わうには十分です。