「花神」〈上〉

花神〈上〉 (新潮文庫)

花神〈上〉 (新潮文庫)


昨年からの私の中の幕末ブームは続いていて、久坂玄瑞の戦時中に書かれた伝記を読みつつ、司馬遼太郎の小説もまた読み始めました。

花神」は、一昨年から昨年にかけて読んだ「世に棲む日日」と表裏一体な感じの長州人の物語です。主人公は、大村益次郎。討幕軍の総司令官で、靖国神社の入口の銅像の彼です。

彼は長州人といっても、萩城下ではなく田舎の百姓身分の出で、緒方洪庵適塾蘭学を学ぶことで才能を発揮し名をあげていきます。時勢を憂う志士とは一線を画す前半生。思想家や政治家という類ではなく、学者というか職人。文系ではなく理系。人種がちょっと違う感じ。

そんな彼が幕末の歴史の渦に巻き込まれていきます。上巻の後半でやっと桂小五郎が登場して面白くなってきました。

大村益次郎(この時期は村田蔵六)の性格が地味でちょっと魅力がわかりづらいな・・と思いつつ読んでいるのですが、シーボルトの娘さんとのロマンスは興味深かったです。実話かどうかはわかりませんが・・