「世に棲む日日」(四)

幕府は長州征伐を決意。窮地に陥った長州藩に「佐幕政権」が成立。高杉晋作は藩内クーデターを起こし奇跡的に成功させる・・そして、それが世の中の流れを大きく変えることにつながる。

晋作にしてみれば、師である吉田松陰安政の大獄で失い、同志である久坂玄瑞らを蛤御門の変で失い、精神的な孤独の中でこのクーデターを起こしたんじゃないでしょうか。彼らの「志」を引き継ぐため・・

芸者をあげての飲めや歌えの大騒ぎも、彼の孤独を紛らすためだったのかなあ、なんて想像します。結果的にそれが、元々弱かった彼の体を蝕む一因になったのかもしれないけど。

有名な辞世の句「おもしろき こともなき世を おもしろく」


この小説を読んで、あらためて幕末の志士に心動かされました。自己保身など考えもせず、日本のことを思い、自らの正義に生きた彼ら。ここ数年、自分の立場を第一に考えたり、お金で動いたりする人間が身近で目につくせいか、こういう青年たちの生き方に魂を揺さぶられてしまうのよ。

彼らにちょっと喝を入れてもらったような感じです。

新装版 世に棲む日日 (4) (文春文庫)

新装版 世に棲む日日 (4) (文春文庫)