「魔術はささやく」

平成元年、オール読物推理小説新人賞を受賞した宮部みゆきの初期の作品。

別々の場所で自殺した2人の女性。そして、また別の場所で車道に飛び出しタクシーにはねられ死んだ女性がいた。全く関係性のなさそうな3人の女性の死は、実は繋がっていた・・

サスペンスとしても面白いですが、ただのトリック物で終わらないところが宮部みゆき。最近の「ブレイブ・ストーリー」や「あかんべえ」もそうでしたが、人の心の中の「恨み」とか「復讐心」なんかを描いています。

が、この「魔術はささやく」は、最近の作品ほどの凄みはないかもです。ライトテイスト。

小説の中に「サブリミナル広告」が出てきて「オウム真理教の影響で書いたエピソードかな?」と思ったのですが、平成元年はオウム事件の起きるずっと前でした。って考えると、当時はかなり斬新な内容だったのかもしれません。

魔術はささやく (新潮文庫)

魔術はささやく (新潮文庫)