「源氏物語 九つの変奏」

2008年の「源氏物語千年紀」に読んだ源氏の世界にまた浸りたくなって、この本を手にしました。当代、人気の作家9人がそれぞれの趣向を凝らして、各章を訳しています。

いや、「訳す」という言い方は正しくないかもな。かなり創作入ってた作家さんもいました。金原ひとみの「葵」は、全く別の小説みたいだったし。私の解釈の仕方が浅いのかもしれないけど、よくわかんなかったな。

松浦理英子の「帚木」と島田雅彦の「須磨」、日和聡子の「蛍」は私の知ってる普通の源氏。町田康の「末摘花」は文章が現代的で汚くて辟易したけど、あの章の本題はぶれなく表現されてて笑えました。

一番、面白かったのが桐野夏生の「柏木」。女三宮が、晩年になって過去を振り返るというかたちを取っています。源氏物語では、光源氏の視点で彼女と柏木の裏切り行為を描いているけれど、ここでは女三宮の側の言い分を聞くことができます。物事をウラの側面から見ることの面白さを感じました。

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やっぱり、源氏物語って昔から女性のためのお話だったんだろうな。主人公はイケメン。色んなタイプの女性が出てきて、1人は感情移入する女性がいたりする。そして憧れの高貴な世界を描いている。

今でいうとコバルト文庫か、ハーレクインロマンスか。(ちょっと古い?)更級日記の作者もミーハー的な愛読者だったし、大河ドラマに出てきた深田恭子(時子)も「光る君、光る君〜」ってうるさかったぞ。紫式部自身も面白がって書いてた気がしてならない。。