「海の見える理髪店」

 

海の見える理髪店 (集英社文庫)

海の見える理髪店 (集英社文庫)

 

心に残るちょっといいお話が詰まった短編集。

表題作が1番目に来るのですが、これがすごく良くて。じゃあ、あとの作品はこれを超えないのかなと思いきや、みんないい。

結果的に一番好きなお話は最後の「成人式」。若作りして成人式に出席する中年夫婦のお話なのですが、その理由が泣ける。でも、最終的に明るい気持ちになるお話。

全体的に、現代国語(今、そういうネーミングなのかは知らないけれど)の教科書に載っていそうな雰囲気の小説たち。

荻原浩の作品を読むのは「月の上の観覧車」に続き2作目。このブログにも感想を書いているはずなので、私は何を書いたのだろうと読み返してみたら、

「大人の現国の教科書があったら、こんな短編が載ってる気がする。」

と同じようなことを書いていた!

でも、斉藤美奈子が書いた本作の解説を読むと「金魚が少女に変身する」とか「父がクロマニヨン人の少年」とか「縄文時代の恋愛」とか、アイディア一発勝負みたいな作品をたくさん書いているという!

これにはびっくり。たまたま2冊とも教科書的な短編集だったので、こういう作品ばっかりの作家かと思ってました。思えば2冊とも同じ人から借りた本。その人の好みだったのかも。

今度は「奇想天外」な荻野浩の作品を読んでみたいです。